ソリッドモデル・フォーラム
製作技法や小技 => 懐かしいソリッドモデルの製作記事 => スレッド開設者: K_mars 投稿日: 10月 09, 2016, 09:04:14 午前
Takami-Phantom-05.jpg
主翼の工作(続)
先月号では、主翼の後縁を薄く仕上げるところまで述べました。
翼端は3~5mm長いままにしておきます。そして、クギか竹クギでシッカリと胴体に取付けます。このとき、胴体と主翼の角度には、くれぐれも注意して下さい。
完全に接着したら次はやっかいな主翼に上反角をつける作業です。正面図から上反角のゲージを作って、ノコ目を入れる位置をきめ、糸ノコなどで少しずつ注意してノコを入れていきます。
ほぼゲージの角度まで曲るようになったら、その位置へクサビを入れるわけです。上面下面のミゾにタップリ接着剤をサービスして下さい。
不幸にして、あなたの主翼がポッキリと折れたら、翼を折りたたんだスタイルにしてもよいし、針金か釘を利用して接着剤をつけてもけっこうです。後はパテで整型します。前縁の切込部もこのときに正確な型にします。
クサビの部分は実機でも少しふくらんでいますから、クサビの予分な部分を利用して、ついでに削るなり別に細い木を張りつけるなりして下さい。これで胴体と主翼の取付けは終りました。
尾翼の工作
垂直尾翼も主翼と同じ要領で削ってから取付けます。くれぐれも角度に気を付けて下さい。
水平尾翼は左右を一緒に削って完成してから切り離し、そして機体に取付けます。
モックアップができたら、車輪の入る穴を掘ります。機首レドーム下面のコブと両側面の小さな空気口などは後で取付けます。
Takami-Phantom-06.jpg
下塗り
下塗りは一番単調な作業です。しかし、省略するわけにはいきませんので、テレビを見たり音楽を聞いたりしながら、適当にやって下さい。
要するに女性の美顔術などと同じで、塗っては落し、塗っては落すという作業です。
まず、キリを座席の穴など、つまり邪魔にならないカ所に突きさしてから、薄めたクリヤーラッカーで3~4回塗ります。クリヤーラッカーを塗っておくと、木目を止めるだけでなく、ジェット機などの翼端縁をできるだけ薄くするため、水ペーパーで磨いて仕上げ塗りに入るときに、木目の現れる程度でやめても、まだクリヤーで保護されているので、そのまま上塗りできるので有利です。一日放置すると、少し表面がザラザラしたF4Bとなります。
この上に、サフェーサーを適当に薄めて5~6回塗ります。なお、サフェーサーを塗るまえに、目の細かいペーパーで軽くザラザラを落すと良いでしょう。
サフェーサーを塗る回数は人によって色々ですが、初心者の方はなるベく厚く塗って、水ペーバく-で磨き落した方が無難でしよう。
ラッカーサフェーサーには普通灰色のものが多いようですが、筆者は模型店で白色のサフェ~サーの小さな缶を買ってきて使用しています。これだと、海軍機の場合は下面が白色ですから、たいへん都合がよいのです。
同様にパテも茶色のものが多いのですが、白色のパテを使うようにしています。これらは少し大きな塗料店にあります。
サフェーサーが乾いたら、水ペーパーの少し日の荒い240番位のもので、石鹸をつけて磨きます。光線にすかしてみて、凹凸がないように注意して磨いて下さい。
翼後技などは木目が見える程度で暦きます。
磨きあがったら、主翼と胴体、垂直尾翼と胴体の間にサフェーサーがたまっているはずですから、ナイフできれいに削りとります。,そして、水ペーパーの角でその部分を軽く磨いておきます。
最近のジェット機では、フィレットなどはほとんどありませんので、こういうところも注意して下さい。
磨きあがったところで、木片で機首レドーム下面の赤外線探知用のコブを作って接着します。少しぐらいのスキ間は、サフェーサーが埋めてくれます。
次に機首両側面の小さな空気取入口を作ります。図面では少し大きすぎるので、写真をよく見て修正して下さい。ブリキでは厚すぎるので、缶入ピースの中の薄い板を利用しました。位置をよくきめて、強力な接着剤で貼付けます。
これでだいぶ機首の感じがでてきました。もう一度図面と合わせたうえ、写真と見較べて下さい。よかったら、取入口をパテで整形して下さい。
風防と座席の工作
風防の木型は、この場合別の木で作ります。
F4Bの風防附近を良く見て下さい。風防の枠の下側の部分は胴体の曲面の一部になっています。つまり、下側の枠のない風防が胴体に乗っていると考えて下さい。
風防のまえの部分も、下側の枠はほとんどありません。最近のジェット機では、こういうイヤな感じの風防が多くて、われわれを悩ませてくれます。
木型は下塗りをせずにそのままプレスしてもできますが、サフェーサーだけでも塗って磨いてからブレスすると、透明度の良い風防ができます。
ビニール板はあまり小さく切りすぎるとダメで、気を大きくして充分大きめに切って、一気にプレスします。ビニール板は伸びるほど透明度が悪くなることをお忘れなく。
プレスできたら木型に大体の線を入れて、それに合わせて不用の部分を切り取り、胴体の曲面に合わせていきます。水ペーパーを丸く折り曲げて、胴体とうまく合うようにしま す。うまく合ったら、もう一度木型にかぶせて線を書き、それに合わせて風防の枠を書きます。
こうしないと、図面の通りに枠を先にナイフでスジを入れてしまってから胴体に合わせると、風防枠の角度が違ったり下側の枠の幅がせまくなかったりします。もっとも、名人といわれるような人には、この必要はないかもしれません。
ナイフでスジを入れたら、そのうえへ透明のセロテープを2重に貼り、下に見えるスジの上をナイフでもう一度切り込み、ピンセットなどで枠の部分のセロテープを取り除きます。そして、その上へビニール用の接着剤を軽く塗ります。
ビニール用接着剤を塗っておくと、完成後色がバ、ゲ落ちるおそれがありません。
いい忘れましたが、風防の下側枠の胴体と一体になる部分は、合わせるときにペンチなどで角をつけて折り曲げ、胴体の方にはビニール板の厚さだけ切込をつけて、段のないようにします。
風防前面の下側は枠がないわけですが、接着剤をつけなければならないので、なるべく細くスジをつけておいて下さい。
大体でき上ったら、テープで仮止めして、もう一度図面と写真とを見較べておいて下さい。
次に風防に合わせて、以前に小さく掘っておいた座席の穴の拡張工事を行ないます。
次に、図のようなインチキの座席を作ります。座席の形は写真などで見当をつけざるを得ないわけですが最近のジェット機の座席は大体みな同じような形をしておりますから、あまり気にしないで、いかにも射出座席らしいものを作って下さい。
筆者の場合、ピースの空缶の内蓋の薄い板を、強力な接着剤で接着して作り、非常の場合に引っ張る丸い輪は細い針金で作りました。
頭当ては消ゴムを黒く塗って作ります。座席の上の部分は取付後も良く見えるので、写真を良く見て、できるだけそれらしくデッチあげて下さい。
プラモデルを作ってる人は、キットの中の1ノ50~1!48の人形をパイロットとして乗り込ませても、適当にごまかせて面白いでしょう。
計器板はケント紙を灰色に塗って切り、黒色の点を計器がありに付けるだけで、少し離れるとそれらしく見えます。それでは不充分と思われる方は、航空ファン64年1月号に計器板が出ていますから、参考にしてデッチ上げて下さい。
1/50では資料があっても、座席内部まで完全にできるわけがありません。ですから、座席や計器板はいかにも庫席らしい感じが出せたら充分だと思います。
次に、床板に座席を接着します。写真を見て、座席の位置と風防の枠の間隙を良く調べておきます。座席穴が深すぎたら厚紙を入れて調節します。位置が決ったら、最終的に接着剤で取付け、良く乾いてから風防前面の内部をツヤ消しの黒に塗り、計器板を貼り、操縦梓を取付けてから風防を取付けます。
この場合、あまり接着剤をつけすぎると、サフェーサーが溶けてなかなか乾きませんから注意して下さい。そして、一日放置して乾いたら、パテで隙間を修正しておきましょう。
Takami-Phantom-07.jpg
翼端の整形
風防ができ上ったら、翼端の整形を行ないます。
F4Bを良くみると、主翼、垂直尾翼の翼端まで少しふくらんでおります。
翼端を切ってから、後縁近くへ丸棒の爪楊枝を強力な接着剤で接着します。乾いてから正確な形に削ります。水平尾翼は薄すぎるのでパテを盛り、乾いてからフクラミを削りました。主翼端もパテを盛って良いでしょう。
垂直尾翼の付根にある燃料排出パイプらしきものも、糸ノコで細く切り離してから、釘の頭をつぶしてヤスリで整形し、差し込みます。
着艦フックの先端も適当な厚さの板を切って、曲げて差し込み、その上へパテを盛って仕上げます。
スパローミサイルの取付用のミゾも、筆者はこのときに彫刻刀で掘りました。
これでもう4~5回サフェーサーを塗り、乾いたらまた水ペーパーに石鹸をつけて磨きます。下塗りはこれで終りですから、最後には少し目の細かい水ペーパーできれいに磨いて下さい。そして、胴体付根に貯った塗料を削り取っておいて下さい。