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F4B ファンタムⅡの製作 その(3) 1965年7月航空ファン

スレッド開設者 K_mars, 10月 09, 2016, 09:13:46 午前

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K_mars

Takami-Phantom-08.jpg
上塗り 
 下塗りから上塗りまでの間は全く単調な仕事で、私もときどきソリッドを作るのがアホらしくなります。そんなときはあせらず一服してから、じっくりと取組みます。
 さて上塗りですが、実物のF4Bは殆んどツヤ消しに近い白とガル・グレイに塗り分けてあるようです。ソリッドにした場合あくまで実感派としてツヤ消しにする場合は吹付で行ないますが、私の場合は機体はツヤを出すため少し厚目に筆塗し、乾いてから600番ぐらいの細かい水ペーパーでもう一度磨いてから、コンパウンドでツヤを出しました。
 そして機首レドームや機首光線よけを完全なツヤ消しにすると、一段と引き立ちます。
 まず下塗り完成後の機体をもう一度良く調べて、完全に水ペーパーがかかっているかたしかめて下さい。そして下面に白のラッカーを5回程度塗ります。
 白のラッカーはそのままの白色より青のラッカーを、ほんの少し落してまぜてから塗ると良い色に仕上り、完成後の変色もある程度防止できます。
 ガル・グレイに塗る部分は必要ありませんが、フラップおよび垂直尾翼の舵面は上下面とも白色ですので塗っておきます。別に作ってある水平尾翼も上面下面とも白色ですので一緒に塗ります。
 乾いたら目の細かい水ペーパに石鹸をつけて、ハケ目を取るために磨いておきます。そしてフラップ上面や方向舵の部分をセロテープ等でカバーしておきます。そして今度は写真等を良く見て機首の塗り分けを行ないます。同様に他のガル・グレイの部分も塗ります。
 さて、このガル・グレイなる色ですが、私の場合、有難いことに新明和にいる友人に痛んで、同社が米海軍機に塗っているガル・グレイの色も手に入れましたので、塗料だけはホンモノであります。
 この他にネプチューン等に塗られているダーク・シープレン・グレイと言う色、海兵隊のヘリコプターや観測機等に塗ってある明るいグリーンの色を持ってますが、これらを塗ると完全にツヤ消しになります。シンナーで溶けますが、われわれが入手出来るラッカーとは違う質の塗料のようです。
 色の具合は私は数字で現わすのが苦手で、黒が何% とは申しませんから、皆さんの感じでガルグレイを作って下さい。
「航空フアン」のカラーページにも有りますが、65年3月号のサベージとフュリーの色ほ少し青味がオーバ一気味です。実物は白に黒を落して行くだけで作れる色のようです。64年9月号のフランス海軍のクルセーダーの色等が近い色だと思います。
 ともあれ実物を見る機会のある人は、自分自身の目で確かめて下さい。海に近い人は上を飛ぶカモメに御注意下さい。ガル・グレイですぞ!
 乾きましたら白色のときと同じように水ペーパーで磨きます。コンパウンドはスジポリの後で使います。
風防のセロテープももう少し後でめくります。

スジボリおよびリベット
 以前はモックアップのときにスジポリを行なう人が多かったのですが、最近では、上塗り後にする人が多いようです。これですとサフェーサー等がスジポリの部分をふさいでしまう心配もありませんし、浅くスジポリをするだけで良く、少々下手にやっても割合スッキリ見えますので具合がよろしい。
 スジポリも私の場合は、フラップや方向舵等の可動部分は木の部分が見えるぐらいに少し深く、前縁フラップや点検用の孔、風防の枠といった所は浅く塗料をわずかに削る程度、外板の継目等はナイフでスジを付けるだけと言うようにしています。
 刃物は良く切れるに越したことはありませんが、最近、刃先の切れなくなった部分を捨ててしまう刃物もあるようですから、各自最良の方法で行なって下さい。私の経験では刃先をなるべく寝かせるようにした力が、木目にそってずれたりしないようです。
 リベット打ちもこのときに行ないます。プラモマニヤの人々の中には、ソリッドはリベットがないから駄目だと思っている人が多いようですが、これは間違いだと思います。一昔前の飛行機ならともかく、最近のジェット機にまで、もっともらしくブツブツと出ています。
 殆んどのリベットはいわゆる沈頭鋲と言うヤツで、表面は機体表面と同一のはずです。要するにメーカーのもっともそれらしく見せるためのトリックなのであります。
 ソリッドの場合は反対に凹ませるわけですが、これも実機らしく見せるための手段なのです。私はリベットは強調すべきものではないと思ってます。手に取って良く見ると、始めてリベットに気付く程度が良いのだと思います。裁縫用のルーレットで矩形のパカでかいリベットなんてのはいけません。
 かと言って虫ピンの先等で一つ一つ打つのは非能率ですので、ガリ版印刷の点線を打つときに使用する細かいルーレットを使用して軽く行ないます。
 これも外板の細目がわかるぐらいの写真でもあればともかく、どうしてもデタラメになりがちですから、あまり神経質にならないことです。
 これが終りましたら、コンパウンド・ワックス等でつや出しを行ないます。
 次に風防をカバーしていたセロテープを取り除きます。軽くナイフを入れてから、はがすとうまく行きます。はがしたらもう一度ナイフでスッキリと整形しておきます。

マークと記号
 ソリッドもこの辺まで出来ると、一刻も早く完成させてしまいたいのが人情です。しかしあせらずじっくりとやりましょう。マークは記号とともに、ソリッドをスッキリと見せるポイソトの一つです。 まず写真を良く見てアメリカのマークの位置を決めます。マークは烏口とコンパスを使って書く方法と、セロテープ等をナイフで切って書く方法とがありますが、どちらも一長一短がありますので、各自得意な方法で行なって下さい。 私は烏口とコンパスで書きました。この方法は今までに「航フ」でも発表されていますので省略しますが、あまりラッカーをうすめ過ぎますとなかなか色が乗りませんので、少々濃いぐらいのラッカーで手早く書いて下さい。一回ではなかなかうまく書けませんが、ハミ出した部分等は小刀かカミソリの刃先等で軽く削って修正します。 私の機体は昨年横田基地で公開された海兵隊の F4B(シリアル151013)にしました。ソリッド・マニヤの中には、自分の作った機体のナンバーを自分で適当な数字を書く人や、ときには彼女のバース・デーの口や自分の乗っているクルマのナンバーを入れたりする無責任な人もあるようですが,やはり実在するナンバーの機体を作って欲しいものです。
Takami-Phantom-09.jpg
 書きやすい1や7、4をやたらに書く人もおりますが、自分なりに調べてから記入しないとシリアルにうるさい連中から文句が出ますから御用心下さい。 機首の機体ナンバミーは軍機は3桁、海兵隊は1桁又は2桁の数字のようですが、尾翼番号の1013の機首が2ですが、3は1014ではありませんからご注意下さい。 海軍および海兵隊機の数字や文字の字体ですが、良く見ますと文字または数字の外側の部分は角がとれています。しかし内側は角はとってありませんのでご注意下さい。

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 大きな文字や数字はセロテープを切って書いて見ました(尾翼のVW機首の2など)。しかし一回ではうまく書けませんからどうしても小刀等で削ったり、線を太くしたりする修正が必要です。 少し小さい文字および数字は上下に幅を決めて、セロテープをはって充分下面きをして位置を決めてから烏目またはフリーハンドで書きました。 MARINESおよびVMFA-314等はフリーハンドでプラモデル用のラッカーを使用して見ました。小さな文字等はリダーダーで、ラッカーをうすめるより、プラモデル用の塗料を使う方が良いようです。 もし失敗しても、プラモデル用のシンナーを布につけて軽くふけば消えるので好都合ですので、一度試して見て下さい。少々まずくても上下の幅が決っていると、少し離れて見ると良く見えるものですから、あまり修正し過ぎて傷をつけないようにご用心下さい。 F4Bに限りませんが、アメリカの最近の機体は機体表面が取扱説明書みたいにやたらといろいろな注意書きが目に付きます。特にF4Bの機首は注意書きだらけです。これはプラモデル用の黒ラッカーを先の細い筆を利用して、チョポチョボをつけます。写真を良く見て位置を決め適当にそれらしく点々を書きます。 これは下手なりベットよりもっと実感が増しますので是非やって見て下さい。 順序が逆になりましたが、機首レドームをつや消しの黒(最近の機体では灰白色のものも有)に、光線よけは黒に近いグリーンに塗ります。主翼前縁、空気吸入口の前縁、尾翼の前縁は銀色に塗ります。尾部の排気口付近は、銀に少し黒を加えて塗りますと実感が出ます。 排気口内は黒に近い色で良いでしょう。筆洗い後のシンナーの底に貯った色等案外イケます。 部隊マークは各日お好みの部隊のものを入れて下さい。大西洋方面に配属されているF4B等は仲々派手でイカします。カラーでなく白黒写真で部隊の色を見分けるのはなかなか困難ですが、アメリカのマークのブルーの色と赤線の部分の色具合で見分けて行くと良いでしょう。 この場合の色は中間色ではなく、ブルー、赤、グリーン、黄といった単純な色が殆んどですから案外楽です。

脚の工作
 さて、私の最も苦手な脚です。私同様ハンダ付けが苦手の人も多いと思います。あちらを付ければこちらがポロリと取れ、あげくの巣はヤケドで飛び上った経験をした方も私一人ではないと思います。 1/50ではあまり細かく出来ませんので、細かい部分は省いた方が無難でしょう。タイヤは市販のUコンの尾輸用の12 ミリを主車輪に、8ミリのものを前車輪用にそれぞれ2コずつ用意して下さい。 これらのタイヤはバ、ブの部分が丸く出ていますので、この部分をヤスリ等で平に落しておきます。支柱になる棒は買ちゅう棒、あみもの針などを利用して下さい。私は真ちゅうの釘を使いました。これはいろいろなサイズのものがありますので金物屋等で仕入れておくと便利です。 私がバンダ付けをするとハンダが盛上ってしまいますので、余分な所はヤスリをかけておきます。オレオ等の重みのかからない所は、金属用の接着剤を利用して貼りつけ、かわくまでセロテープ等で止めておきます。 車輪カバー等は真ちゅう板またはブリキ板を2枚貼合せて作り、虫ピン等を利用して機体え取付ます。脚柱は海軍機の場合、殆んどの検体が白に塗ってあります。同様に車輪カバーおよび脚の入る穴も白く塗っておきます。
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完成した機体の下面。脚の取付けなどがよくわかる
水平尾翼の取付
 右左一体に作って完成した水平尾翼を型紙を当てて位置を決め切り離します。F4Bの水平尾翼は相当きつい下反角が付いていて、切口を角度に会うように削り合わせます。
 水平尾翼は平面図の大きさより下反角があるため少し大きいはずですから注意して下さい。少し大き目に切ってから図面と合わせながら削り合わせて下さい。合わせましたら虫ピンを差し込んで胴体の位置を決めて虫ピンで取付ます。
 つまり実機と同じオールフライングテールになるわけです。最近のジェット機の水平尾翼の多くがこの形式で実幾でも胴体と尾翼の間はスキ間があいています。ソリッドでもこうしますと、工作がしやすく、マークを書くときに非常に書きやすいので、何かと好都合です。
 水平尾翼は非常にうすいので、虫ピンをあまり深く差し込みますと尾翼の表面へ出るので注意して下さい。

落下タンクとパイロン
 F4BファンタムⅡ世はいろいろなしろものを翼の下に吊しています。それも別に一定してませんので、何も付けずにパイロンだけでも良いわけですが、落下タンクを2本吊した機体にしました。
 胴体下面に一コ吊っている機体もあります。各自お好みのようにして下さい。、図面ではタンクは付いておりませんので、私は写真から大体割出しました。大きさは直径が12ミリで、長さ約11cm5ミリです。
 支持架も一体に作り、完成したら翼に削り合わせて位置を決め、虫ピン等で固定します。タンク外側のスジはビニール板等を細かく切って貼り付けた後、上塗りします。タンクの先端は銀色に塗ります。
 パイロンは最初は図両のような形式でしたが、最近のものはもっとややこしい形をしています。写真ではまだ取付てありませんが、私は木で作りました。垂直尾翼に付いているピトー管らしきものは、細い虫ピン等を付けます。
 さて、ようやくF4Bが出来上りました。もう一度机の上等に置いてよく眺めて下さい。落下タンクが下り過ぎませんか、両主翼端の高さは両方同じですが、もし違っていたら脚の長さで修正して下さい。水平尾翼の下反角は、半田がふれて色のハゲた所なども修正しておきましょう。
 全部OKとなりましたらバ、手アカ等で汚れた機体をユニコン等のつや出しできれいに落して磨きます。

おわリに
 こうして、私のファンタム2世は完成しました。写真では実に良く見えますが、実物はいろいろとまずい所もあります。私自身採点して80点ぐらいでしょうか。
 私の文は作り方の教科書ではありませんから、これから作ろうという方は私の通りに作る必要はありません。皆さん自身が一番最適と思われる方法で作られることをお進めします。私の拙文はそのときに少しでも参考になれば本望です。
 私のいいたかったのは、ブツブツ文句をいいながらプラモデルを修正しているぐらいの人なら、ソリッドは充分作れるということです。ソリッドを完成させたときの気持は、とてもプラモデルの比ではありません。この満足感を是非多くの人に味わってもらいたいと思います。
 各地のソリッド・モデル・クラブは、そういう人の入会を心から待っている筈です。そして私のように下手で少々無責任なソリッドを大いに楽しみましょう。そして「航空ファン」のグラビア頁をわれわれの作ったソリッド・モデルでうずめようではありませんか。  (おわり)
ソリッドモデルは永遠だ!
Member of "Solid Model Memories"